yakouseki

あやとり2009/03/24

くもり日の

鉄路ゆらゆら

海のなか



藻屑をぬぐうあけくれに

ねじれてしまった塔や橋



夢遊の百合に灯がともり



すくって

ひらく

あやとり糸は

迷子の視線でできていて



ひとりが小指を離したら

たちまちからまる

薄暮の家路



ゆめの順路





なだらかな蒼い野原から

きらめく無数の泡沫のぼり



不完全な翅や貝

三日月の脱け殻が

ひっそり崩れて

枕のなかで

すこし鳴く



ふいに濃く

百合の影かおり



混沌の

やややわらかい場処へ



寝返りをうつ



















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