yakouseki

余 白2009/04/10

哀しい日向だな



うそ寒い日陰の縁を

逃れてきたのに





濡れたからだを覆う砂が

白く乾いていく海岸の

子どものように

漂着物のように



さらされて



歳月の明るい陥穽

そのもののように

忘れられ



謐かすぎる午(ひる)



瑕(きず)のない貝殻を選りわける

誰でもない

白い手



波打ち際の

砂の家



ありふれた予覚の満ち引きみちひき

という幻聴



ものがたりのすみやかな

改頁からこぼれてくる

ふたつの眼を

高く低く蒼穹に投げ上げながら



どこかへ帰る

白い足



















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