yakouseki

茜 雲2011/12/29

冷えたスープのように黙って

月光に縁どられていた

人の

溶け残る声が

降ってくる

あくる日



闇の中でしか鳴けなかった

虫たちの薄い翅を

ひろう

森のそこで

わたしの血は透明になり

ゆきずりの風にしたがい

ひきわたされた水にのまれて

逢えなくなるのだった二度と



だけど

酔夢の森であなたが

(木の根か

けものの骨か)

(砂礫か

花の蕾か)

わからないものを踏むときの

背筋をのぼる慄きのなかに

わたしは瞬いて



紅い実を噛んだ息で

呼ぶ





















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http://melharp.asablo.jp/blog/2011/12/18/6249774

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