yakouseki

夕 声2016/02/16

野原の泡みたいな
たんぽぽ ひなぎく しろつめくさ

すきなだけ摘んでもおこられないから
帽子のなかにたくさん入れて

こんもりと土を盛ったモンシロチョウのお墓に ふたりで
輪を描くように下の方から
たんぽぽ ひなぎく しろつめくさ
たんぽぽ ひなぎく しろつめくさ

きれいに 並べた

お祈りしましょうと あの子が言ったから
わたしも目をとじて掌を合わせたけれど
その沈黙には 小さなクモが
せっせと巣を編んでいるだけだった



風が来て
ほつれた髪が 頬にはりついて
ふれると 草のよう

気がつくといなくなっている あの子は
誰だったのかな

おそい木霊のように
声だけがときおり 返る

川の向こうに見える ふたつの大きな山はね、
神さまのひざこぞう

ゆっくり立ち上がるとき
日が翳る












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