yakouseki

うたかた2009/08/02

触れると水になる手を

握り返す

波紋



虹のめまいのかさなり濁る

さみしさの奥



過去の声で話して



わからないまま

頷いて



連れていかれる

とおい席



銀のうろこの壁が鳴り

私か誰かの背筋せせらぎ



月の憂いのしみとおる

なめらかな階段を降りてゆくと



瞼がうっとり溶けてきて

眼窩から

大きなふたつの泡が昇り



どこかで

笑いのように爆(は)ぜるでしょう



私か誰かの

郷里の花火



それもまた

黒板消しで素早く消され



白い煙がたちこめて



















.