yakouseki

髙橋淑子 書歌集2015/11/06

書家でもある歌人の友、髙橋淑子さんがこのたび
書歌集『うつし世をともに在りたるもろもろへ』を出版されました。




歌集としては『うゐ』『緑塵』に続く第三歌集となりますが
今回注目すべきは歌の情調を奏でるような自筆の「書」です。






 光 ・・・・・・・・・・・・・・
 恋 ・・・・・・・・・・・・・・
 生 ・・・・・・・・・・・・・・

目次の章タイトルはこのようになっています。


難しい病に翻弄されながら
翻弄されるほどに澄み透っていく彼女の眼、

"うつし世をともに在りたるもろもろ"をいとおしむ心、

その清粋な発露。



美術関係の書籍を得意とする出版社のデザイナーさんと
時間をかけて、紙や造本も細部までこだわりぬいたとのこと。

美しい本です。



私がもっとも心惹かれた一首は

  闇にゐてさらに闇へと入りゆかむ
   異(あや)しき花の待ちをれば なほ


闇に脅えてうずくまっているより、いっそのこともっと闇の奥へ
歩を進めてみたら、「異(あや)しき花」が自分だけのために
艶やかに咲き匂っているかもしれない・・・

どうしても闇から抜け出せない時には
潔い、この歌を思い出すことにします。




         *

 髙橋淑子 書歌集/株式会社 目の眼
 『うつし世をともに在りたるもろもろへ』