yakouseki

秘密2013/09/03


秋風が落ち葉を

寥しい記憶のようにあつめて

赤いのや

黄みの緑の濡れているのや

虫くいのや

まるまっているのや

並べては

吹きくずして

置き去りにする



気まぐれに

また迎えにくる

こともある



廃線になったはずのバス停に

一台のバスがきて

停まり

扉がひとりでにひらいて

透明な人をひとり乗せた



錆びた音をたてて扉が閉まり

声のようなものをさえぎり

瞠(みひら)く目を

窓のように曇らせ



それが

合図



拾わなかった落ち葉のように

言葉は

発進するバスの風圧に翻って

きれいだ



きれいな空耳のように

鳥たちもいそぐ



どうしていまごろ

気づいたのだろう



死んでしまった人はひっそりと

夕もやの息をふかくはきながら

となりの町に暮らしていること


















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