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『幽光』感想録 その32026/04/16

詩集『幽光』を読んでくださった方々からのご感想(部分)を
ご紹介させていただきます。(その3)



●『幽光』という詩集名にあるように、幽玄な世界をこまやかな光が言葉のかたちで揺れ動いているような、濃密でありながら、4行詩というかたちによって重苦しさから解き放たれた詩篇の群れに圧倒されました。
今まで読んだことのない詩世界を構築されていて、名詩集だと思います。(O・Y様)


●どこまでも辿っていけそうな深まりのある美しい装画(瀬川葉子さん)と糸田さんの詩の個性が生かされ、ふらんす堂さんの造本も素晴らしいです。詩集が手の中に入るサイズということにも稀有な歓びを感じます。
詩篇はそれぞれの言葉が、表記や音も含めて大切に選び抜かれ、最大限の詩的効果をもって組み立てられていて、雪の結晶のように、ひとつひとつ違ってため息の出るバランスで構築されていると感嘆。(中略)
日本語は漢字やひらがな、カタカナなどで記述されるのですが、改めて、とても魅力的な言語だと、4行詩をひとつひとつたどりながら感じ入ります。助詞の向き、行間の飛躍などによって読む側も翻ります。(K・S様)


●一篇一篇を読み終えたあとに誘われる迷路のようなキラメキ、奥深い一冊です。(H・T様)


●ゆっくり読めば読むほどにどこか奥深いところに引き込まれるようでした。時には森の奥、空の彼方、水の深み…ことばの広がりが伝わる作品がたくさんあって、近くにおいて何度も楽しみたいと思いました(S・Y様)


●想像力の小窓
「秋の夜の会話」を
腹とったら死ぬだろうね/死にたかぁないね/さむいね/「ふようどのおふとんぬくいね」/虫がないているね/「ことの葉もとけているね」*

と続けてみました。こんな時間をありがとう。(K・A様)

 *草野心平「秋の夜の会話」に『幽光』の詩(「  」内)をしのびこませて


●見事な言葉選びの感覚に参りました。選ぶというより、空中から糸田さんが何かを掬い取ったように見えて、その掌の言葉を見て驚く、というような感じでした。

 二重露光の/夢と森/古い手紙の時候を/ひとり
 幻燈会の/耳うちに似た/かみせっけんの/むこうがわ

黒部節子の「まぼろし戸」を読んだ時に感じるものと通じるような、「知ってる」感覚。私は詩を読んでこういうふうに感じる時、居ながらにして別の場所に行くことができるような気がするのです。
ひとつひとつの詩が小さな絵のようでもあり、後記の通り、小窓のようでもあり、時空を超えて想像力をかきたてられました。(H・A様)


● トイピアノの/ド/順番待ちの/雪

雪はトイピアノの音のように天界から降りてくる贈り物。
雪がゆっくりと降りてくる様子は音階にも見えるし、その降りてくるリズムとメロディーはたどたどしくも楽し気に奏でられるだろう。
そんな予感に満ち溢れる懐かしく、あたたかく、豊かな世界を描いている。(S・T様)


●紙の質感や緑色の装画、とても美しい本ですね。
タイトルの「幽光」は、眼には見えないけど感じる曖昧な光の美しさや、その中にある寂しさや孤独を思いました。

 幻の鳥を呼ぶ/水笛を/森に忘れて/森を忘れる

森が自分の無意識の中の深層心理や原風景の象徴のように思えて、印象に残りました。ともよさんの世界には何か自分の中の大事なことを思い起こさせてくれる魅力があって、とても不思議です。(I・K様)


●105篇の詩は、扉であり、ひとつひとつの異世界でした。
私は一瞬でそこへ入り その気配の中に佇んでいる。
見つめ 耳を澄ませ 感じ でもそれは「私」などではなく…
四行の言の葉は こんなにも広大無辺で 繊細にその一点を示しながら
幽かで掴みようもない…
糸田さんの感性の世界に ただただ感銘を受け感服しています。
これからも幽光の世界に佇みにまいります。(M・A様)


●糸田さんの詩を読んでいると、手招きをされているような気がして
ひんやりとした手触り、浮遊感のあるリズムが心地よくて
いつの間にか異界に辿り着いているようです。
その日、好きな場所を開いて読むこともあります。
星の瞬き、映写機の光、雪に反射する青い光、暗闇、白日夢、鉱石…
私も雪の中、よく冷えた本を誰かと贈りあいたいと思いました。(I・J様)


● 雨夜にかえす/博物誌/森の奥から/輪転機のおと
 すれちがいざま/語尾はゆらめき/青信号から/もれている水

が、とくに好きでした。言葉は少ないほどよく動く、と誰かが書いていましたが、その通りですね。〈雪のいもうと〉*のように糸田さんの詩には清潔なふるえのようなものがありますね。(M・M様)

 *樹のうろに/雪のいもうと/きのうより/ちいさくなって








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ふらんす堂さんの編集日記より (詩集『幽光』の詳細)👇クリック