yakouseki

雨が降っていて2011/10/24

夜明け前

雨が降っていて

紙が打たれている


なだらかな坂の側溝


古いアパートへ帰ろうとしている私は

手が金属のように冷えていて


ポケットの深みをまさぐると

鍵と指が区別なく鳴る

冷たい鍵の関節

冷たい指の刻み

橋の欄干

駅のベンチ

錆びた外階段

鉄路

ブランコの鎖

倒れた自転車も標識も

ポケットの中で区別なく鳴るまで冷え


私は私を遺棄したくなる

どこから外れたのかわからないビスを嚥(の)んで


夜明け前

雨が降っていて

紙が打たれている


投函したはずの手紙のような























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