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結晶宇宙を巡る ⑭ ― Cyano Cobalamine ―2015/10/13


                           


雪のように舞った盲目の蝶たちがねむる場処には
透きとおった花びらの墓標が刺さっている
太初の月光を孕む夜露が香りたち
独房の詩人が窓の在り処を知るとき
網膜のようなうすい翅をさずかり
碧い野分に送られて心許なく旋回しながら
墓標の暗号を読みといていく






偏光顕微鏡による佐藤孝の作品、
このたびの被写体はシアノコバラミン。
佐藤氏による解説をお読みください。